チョムスキーの本、 訳者の前書き: 中東 虚構の和平 Middle East Illusions
中東 虚構の和平: イスラエル・パレスチナ問題とチョムスキ訳者まえがき
.> 一九七〇年前後に、チョムスキーは中東に一瞬のまぼろしを見た。かつてパレスチナと呼ばれていた土地に、ユダヤ人とアラブ人がたがいのネイションとしての自治を認めた上で共存し(バイナショナリズム)、ヒエラルキーのない共同的社会を築いていくという従来からの夢が実現しうるという可能性だ。それが現実的なものと感じられるようになったのは一九六七年の第三次中東戦争の結果である。チョムスキーは、イスラエルがこの軍事的勝利を恒久的な和平に換金できるとするならば、社会主義バイナショナリズムの推進によって域との一体化をはかることがもっとも見込みのある道であると考えた。しかし現実には、イスラエルは安全よりも領土拡張を優先する選択をおこない、アメリカの中東支配の駒となって同国への依存を強めたため、チョムスキーが夢想したような方向に進む機会は失われた。
.> そのような見方が妥当かどうかは別として、この時期に熱く論じられた理想はチョムスキーの思想の原点に根ざした興味深いものである。中東問題の根幹にあって膿を出しつづけるイスラエル・パレスチナ問題は、チョムスキーにとっては自らが育った環境に深くかかわりのある特別な思いを抱かせるものなのだ。
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https://www.jca.apc.org/~nakanom/J/Chomsky/Illusion.htm#
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